この記事ではFXの「板取引」と「板情報」について解説していきます。
FXの「板取引」と「板情報」とは?
まず、FXの取引方法には大きく分けて2つの種類があります。
- 店頭FX(OTC取引): 個人投資家が普段利用するほとんどのFX会社がこの方式です。投資家はFX会社を相手に取引します(相対取引)。提示されるレートはFX会社が生成したものです。
- 取引所FX(板取引): 株式取引のように、取引所(例:東京金融取引所)に投資家たちの売買注文が集められ、条件が合ったものから取引が成立(マッチング)する方式です。
今回ご質問の**「板取引」はこちらの②を指し、その際に使われる注文状況の一覧表が「板情報」**です。
1. 板取引(取引所FX)とは?
板取引は、株式取引と同じように「オークション方式」で価格が決まる、透明性の高い取引方法です。日本では、東京金融取引所が運営する**「くりっく365」**が代表的です。
特徴
- 取引の相手方: FX会社ではなく、他の不特定多数の投資家です。
- 価格の決定方法: 買いたい人(投資家)と売りたい人(投資家)の注文が取引所でマッチングすることで価格が決まります。
- 透明性: すべての投資家の注文状況(板情報)が公開されるため、価格形成のプロセスが非常にクリアです。
2. 板情報(オーダーブック)とは?
板情報とは、**「どの価格に、どれくらいの量の売買注文が入っているか」**を一覧で表示したものです。「気配値(けはいね)」や「オーダーブック」とも呼ばれます。
板情報の見方
通常、以下のような構成になっています。
売り注文(Ask/Offer) | 買い注文(Bid) |
価格 | 数量 | 数量 | 価格 |
150.005円| 500枚 | |
150.004円| 300枚 | |
150.003円| 120枚 | 200枚 | 150.002円 |
150.002円| 80枚 | 350枚 | 150.001円 |
(売り板) | 400枚 | 150.000円 |
(買い板) |
- 中央: 現在の最良気配値。この場合、買いたい人は「150.002円」、売りたい人は「150.003円」で注文を出しているため、スプレッドは0.1銭(= 150.003 – 150.002)となります。
- 左側(売り板): 「この価格以上で売りたい」という注文の一覧です。上に行くほど価格が高くなります。
- 右側(買い板): 「この価格以下で買いたい」という注文の一覧です。下に行くほど価格が安くなります。
- 数量: 各価格帯で出されている注文の量(ロット数や枚数)です。
3. 板取引のメリット
- 圧倒的な透明性と公平性
- レート操作や意図的なスリッページがありません。価格は純粋な需要と供給で決まるため、非常にフェアです。
- 約定拒否がない
- 店頭FXで起こりうる「約定拒否」が原理的にありません。板に出ている注文は、必ずその価格で約定します。
- 有利なスワップポイント(くりっく365の場合)
- 買いスワップと売りスワップが同額であることが多く、マイナススワップを気にせず長期保有しやすい場合があります。
4. 板取引のデメリット
- 流動性が低い場合がある
- 参加者が取引所内に限られるため、世界中の銀行が参加する店頭FXに比べて流動性が低い傾向があります。
- これにより、早朝や経済指標発表時などにスプレッドが大きく広がることがあります。
- 取扱通貨ペアが少ない
- 店頭FX会社に比べて、取引できる通貨ペアの種類が少ない傾向があります。
- 取引ツールがシンプル
- 店頭FX会社が提供する高機能な分析ツールなどに比べると、取引所のツールは比較的シンプルなものが多いです。
5. 板情報の見方とトレードへの活用法
板情報は、短期的な値動きを予測するための強力な武器になります。
① 板の「厚さ」でサポート・レジスタンスを読む
- 厚い買い板: 特定の価格に大きな買い注文が溜まっている状態。価格がそこまで下がると大量の買いが入りやすいため、**強力なサポートライン(支持線)**として機能することがあります。
- 厚い売り板: 特定の価格に大きな売り注文が溜まっている状態。価格がそこまで上がると大量の売りが出やすいため、**強力なレジスタンスライン(抵抗線)**として機能することがあります。
例: 上記の板情報で、もし150.000円の買い注文が「4000枚」だったら、そこは強力なサポートとして意識されます。
② 注文の勢い(歩み値)と合わせて判断する
- 厚い売り板に、買い注文が次々とぶつかって消化されていく(歩み値で確認できる)場合、上昇の勢いが強いと判断できます。売り板を突破すれば、一気に価格が上昇する可能性があります。
- 逆に、厚い買い板が徐々に崩されていく場合、下落の勢いが強いと判断できます。
③ 「見せ板(ダミー注文)」に注意
- 大口投資家が、意図的に大量の注文を出して他の投資家を誘い込み、直前でその注文を取り消す「見せ板」という手法があります。
- 「厚い板があるから安心」と安易に判断せず、実際にその価格帯で取引が成立しているか(歩み値)、注文が突然消えないかなどを注意深く観察する必要があります。
まとめ:店頭FXと板取引の比較
項目 | 板取引(取引所FX) | 店頭FX(OTC取引) |
取引相手 | 他の投資家 | 利用しているFX会社 |
価格の透明性 | 非常に高い | FX会社による(カバー取引先による) |
スプレッド | 変動制(流動性による) | 原則固定(変動する場合もある) |
約定力 | 非常に高い(拒否なし) | FX会社による(スリッページや拒否も) |
通貨ペア数 | 少なめ | 豊富 |
取引ツール | シンプルなものが多い | 高機能・多様 |
向いている人 | ・価格の透明性を最重視する人<br>・スキャルピングで板情報を活用したい人<br>・大口で取引したい人 | ・狭いスプレッドで取引したい人<br>・多様な通貨ペアを取引したい人<br>・初心者やツールの使いやすさを重視する人 |
結論として、 板取引と板情報は、市場の「生の情報」に触れることができるため、特に短期売買(スキャルピングなど)を行うトレーダーや、価格の透明性を何よりも重視するトレーダーにとって非常に有用です。
一方で、普段私たちが利用する店頭FXにも「スプレッドの狭さ」や「ツールの豊富さ」といったメリットがあります。どちらが良い・悪いではなく、ご自身のトレードスタイルに合わせて使い分けるのが賢い選択と言えるでしょう。
板情報の確認方法
まず最も重要な前提として、一般的な店頭FX(国内のほとんどのFX会社)では、株式のような中央集権的な「板情報」は見ることはできません。 これは、店頭FXが投資家とFX会社の相対取引(OTC取引)だからです。
では、どうすれば板情報を見られるのか? 主に以下の4つの方法があります。
確認方法1:取引所FX「くりっく365」を利用する
これが最も「本物」の板情報を見る方法です。くりっく365は東京金融取引所に上場している公的なFXであり、すべての投資家の注文が集約されるため、株式と全く同じ仕組みの板情報が存在します。
手順:
- 「くりっく365」の取扱会社で口座を開設する。
- 主要な証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)や、GMOクリック証券、外為オンラインなどが取り扱っています。
- 各社が提供する「くりっく365」専用の取引ツールにログインする。
- 通常のFX取引ツールとは別になっていることが多いです。
- 取引ツール内の「板情報」「気配値」「プライスボード」といった画面を開く。
- これで、リアルタイムで動く注文状況(価格と数量)を確認できます。
(出典:東京金融取引所ウェブサイト)
- メリット: 公的で透明性の高い、正真正銘の板情報が見られる。
- デメリット: 取引所FXは店頭FXに比べてスプレッドが広がりやすい時間帯がある。
確認方法2:OANDA(オアンダ)の「オーダーブック」を利用する
これは非常に人気のある方法です。OANDAは自社の顧客の注文状況を**「オーダーブック」**として公開しています。これは市場全体の板情報ではありませんが、世界中に多くの顧客を持つOANDAのデータであるため、個人投資家の動向を把握する上で非常に強力な参考情報となります。
手順:
- OANDA Japanで口座を開設する。
- 口座開設者向けの限定ツールとして提供されています。
- OANDAが提供するツールにアクセスする。
- Web版ツール: ブラウザ上で見られる高機能なオーダーブックがあります。
- MT4/MT5用インジケーター: MT4やMT5のチャート上に直接オーダーブックを表示させることも可能です。これが非常に便利で人気があります。
OANDAのオーダーブックでわかること
- オープンオーダー: 未約定の指値・逆指値注文の分布。どこにサポート/レジスタンスがあるかのヒントになる。
- オープンポジション: 約定済みの買い/売りポジションの分布。どの価格帯で多くの人が含み益/含み損を抱えているかがわかる。
- メリット: 市場全体の縮図として非常に参考になる。MT4/MT5に表示できるため、普段のチャート分析と組み合わせやすい。
- デメリット: あくまでOANDAの顧客データであり、市場全体の注文ではない。
確認方法3:ECN方式を採用する一部のFX会社を利用する
ECN(Electronic Communications Network)とは、電子取引ネットワーク上で投資家の注文を直接マッチングさせる方式です。この方式を採用しているFX会社では、板情報に近い**「Depth of Market (DoM)」や「Level2気配値」**を確認できます。
代表的なプラットフォームとFX会社:
- cTrader(シートレーダー): 板情報の表示機能が標準で搭載されている高機能プラットフォームです。
- 国内の取扱会社例: AXIORY, FxProなど
- Dukascopy(デューカスコピー): 独自のECN(SWFX)を持っており、詳細な板情報を確認できます。
手順:
- 上記のようなcTraderなどを提供するFX会社で口座を開設する。(AXIORY 口座開設・Tradeview 口座開設)
- cTraderなどの専用プラットフォームをダウンロードし、ログインする。
- プラットフォーム内の「DoM」や「板情報」機能を使って確認する。
- メリット: プロ仕様の環境で、より市場の流動性に近い情報を得られる。
- デメリット: 中上級者向けのプラットフォームが多く、最低入金額などが高めに設定されている場合がある。
確認方法4:Saxo Bank(サクソバンク証券)を利用する
サクソバンク証券はプロ向けの高度な取引ツール**「SaxoTraderPRO」を提供しており、その中で「Level 2」の気配値情報(板情報に相当)**を確認することができます。これは、複数のリクイディティプロバイダー(銀行など)からの価格提示を集約したもので、非常に透明性が高いです。
- メリット: 機関投資家レベルの取引環境と情報を得られる。
- デメリット: どちらかといえば、ある程度の資金力がある中上級者向けのサービス。
まとめ:あなたに合った確認方法は?
確認方法 | 特徴 | 主な提供会社/ツール | こんな人におすすめ |
1. 取引所FX | 公的な本物の板情報。 透明性No.1 | くりっく365(SBI証券、GMOクリック証券など) | ・価格の透明性を最も重視する人 ・株式取引のように板読みをしたい人 |
2. OANDA | 個人投資家の動向を把握するのに最適。MT4/MT5で使える | OANDA Japan | ・普段MT4/MT5を使っている人 ・市場心理を分析に取り入れたい人 |
3. ECN方式 | プロ仕様のプラットフォームで市場の深さを見る | cTrader(AXIORYなど), Dukascopy | ・スキャルピングを本格的に行いたい人 ・より高度な取引環境を求める中上級者 |
4. Saxo Bank | 機関投資家レベルの板情報 | サクソバンク証券(SaxoTraderPRO) | ・大口での取引を考えている人 ・プロフェッショナルな情報を求める人 |
結論として、まず手軽に試してみたいのであれば「OANDA Japan」に口座を開設して、MT4/MT5でオーダーブックを表示させてみるのが最もおすすめです。
もし「本物の板」にこだわりたいのであれば、「くりっく365」の口座を開設してみましょう。ご自身のトレードスタイルに合わせて、最適な方法を選んでみてください。
取引板を利用した期待値の高いトレード手法
期待値が高いトレードとは、**「1回の勝ち負けではなく、長期的に見て利益が残る可能性が高いトレード」を指します。そのためには「損小利大(損失は小さく、利益は大きく)」**を実現することが重要です。板情報は、この損小利大を実現するための強力な武器になります。
これから紹介する手法は、主に短期売買(スキャルピングやデイトレード)で真価を発揮します。
重要:板情報と「歩み値」はセットで見る
まず大前提として、板情報(注文状況)と合わせて**「歩み値(タイムアンドセールス)」**を見ることが極めて重要です。
- 板情報: これから起こるかもしれない「未来の注文状況」
- 歩み値: たった今、成立した「過去の取引履歴」
「厚い板があるから反発するだろう」と考えるだけでなく、「実際にその厚い板に注文がぶつかって、どのような約定が起きているか(歩み値の動き)」を観察することで、トレードの精度が格段に上がります。
手法1:【王道・逆張り】厚い板を背にしたカウンタートレード
これは最も基本的で、かつ期待値が高い手法の一つです。
トレードのロジック
- 環境認識: まずチャートで、キリの良い数字(例:150.00円)、直近の高値/安値、ピボットポイントなど、意識されやすい価格帯を探します。
- 板の確認: その意識されやすい価格帯に、他と比べて**明らかに分厚い買い板(または売り板)**があることを確認します。これが強力なサポート/レジスタンスとして機能する可能性が高いです。
- エントリー:
- 買い(ロング)の場合: 価格が厚い買い板の少し上まで下落してきたところでエントリーします。厚い板が「防波堤」の役割を果たしてくれると期待します。
- 売り(ショート)の場合: 価格が厚い売り板の少し下まで上昇してきたところでエントリーします。
- 損切り(ストップロス):
- ここが最重要ポイントです。 損切りは、背中にした厚い板が完全に突破された直後に置きます。防波堤が崩れたら、すぐに撤退するイメージです。これにより、損失を非常に小さく限定できます。
- 利食い(テイクプロフィット):
- 反対側の板が厚くなっている価格帯。
- 直近の小さな高値/安値。
- リスクリワード比が1:1.5〜2.0になるポイント。
なぜ期待値が高いのか?
- 損切りラインが明確で浅い: エントリーの根拠である「厚い板」が崩れたら損切り、という明確なルールのため、損失を限定できます。
- 根拠の強さ: 大口を含め多くの市場参加者が意識している価格帯なので、実際に反発する確率が比較的高くなります。
注意点: 大口投資家による「見せ板(直前で注文を取り消すダミー注文)」の可能性もあるため、注文が急に消えないか注意深く観察しましょう。
手法2:【順張り・ブレイクアウト】板の突破と歩み値を組み合わせたトレンドフォロー
厚い板は抵抗線ですが、それが破られるときは、大きな値動きの始まりになることがあります。その初動を捉える手法です。
トレードのロジック
- 板の確認: 上下に厚い板が控えているレンジ相場などを見つけます。
- 歩み値の監視: 価格が厚い売り板(または買い板)に近づいてきたら、歩み値を凝視します。
- エントリーのトリガー:
- 厚い売り板に対して、**大口の買い注文が連続して約定し、板が急速に消化されていく(喰われていく)**のを確認します。
- この「勢い」を確認できたら、板が完全に突破される直前、または突破された瞬間に順張りで買い(ロング)エントリーします。
- 損切り: 突破したはずの板の内側(元のレンジ内)に価格が明確に戻ってしまった場合。ブレイクが「ダマシ」だったと判断し、即座に損切りします。
- 利食い: 値動きが加速することが多いため、次の節目まで利益を伸ばすか、トレーリングストップを使って利益を追いかけます。
なぜ期待値が高いのか?
- 大きなトレンドの初動を捉えられる: 厚い板を壊すほどのエネルギーがあるということは、強いトレンドが発生する可能性が高いことを示唆します。
- 「歩み値」でダマシをフィルタリング: ただ板にタッチしただけでなく、「勢いよく消化されている」ことを確認することで、失敗(ダマシ)の確率を減らすことができます。
手法3:【応用編】「真空地帯」を狙った高速スキャルピング
これは少し上級者向けですが、極めて短時間で利益を狙える手法です。
トレードのロジック
- 板の探索: 板情報を見て、注文がほとんどない**「スカスカの価格帯(真空地帯)」**を見つけます。
- 状況判断: その真空地帯の手前に、比較的厚い板が存在する状況を探します。
- エントリー: 手法2と同様に、厚い板が勢いよく突破された瞬間にエントリーします。
- 利食い: 狙いは真空地帯です。抵抗となる注文がほとんどないため、価格は一気にその真空地帯を駆け抜ける(スリップする)傾向があります。真空地帯の先にある次の厚い板の手前で素早く利食いします。
なぜ期待値が高いのか?
- 値動きの予測がしやすい: 抵抗がないため、価格が走るスピードと到達点が読みやすいです。
- 時間効率が非常に良い: 成功すれば、数秒から数十秒で目標利益に到達することもあります。
注意点: 高度な判断力と素早い操作が求められます。流動性が低い時間帯に見られやすいですが、その分スプレッド拡大のリスクもあります。
成功のための共通の心構え
- 板情報だけで判断しない: 必ずローソク足チャートの形、移動平均線、水平線などのテクニカル分析と組み合わせて使いましょう。複数の根拠が重なったとき、期待値はさらに高まります。
- 損切りルールの徹底: 板は絶対ではありません。「厚い板があるから大丈夫」と過信せず、想定外の動きをしたら機械的に損切りすることが、長期的に生き残るための最重要スキルです。
- 練習あるのみ: 最初はデモトレードやごく少額の取引で、板と歩み値の動きに目を慣らす訓練を積むことが不可欠です。
MT4/MT5/cTraderで取引板は確認できる?
結論から言うと、cTraderが最も板情報に強いプラットフォームであり、MT5がそれに続きます。MT4は標準機能では対応していません。
1. cTrader(シートレーダー)
cTraderは、標準機能として本格的な板情報を表示できる点が大きな特徴です。ECN/STP方式のブローカーで採用されることが多く、プラットフォーム自体が板取引を前提に設計されています。
板情報の種類と見方
cTraderでは、主に3種類の板情報(DoM: Depth of Market)を確認できます。
- Standard DoM(標準DoM)
- チャートの右側に表示される、一般的な板情報です。
- 見方: 各価格帯にどれくらいの注文数量(ロット数)があるかが一目でわかります。クリックするだけでその価格での指値・逆指値注文が出せるため、非常にスピーディーな取引が可能です。
- 特徴: スキャルピングなど、価格の動きに合わせて素早く注文を入れたい場合に非常に便利です。
- Price DoM(プライスDoM)
- より詳細な板情報で、価格が中心に表示され、その両側に売りと買いの注文量が並びます。
- 見方: どの価格帯が厚いか、どこが薄いか(真空地帯か)をより詳細に分析できます。現在のスプレッドも一目瞭然です。
- 特徴: 大口の注文状況を分析し、サポート/レジスタンスの強さを測るのに適しています。
- VWAP DoM(出来高加重平均価格DoM)
- 各価格帯の注文量に加え、その出来高(取引量)も表示されます。
- 見方: 大口の注文が「見せ板」なのか、実際にその価格帯で取引が行われているのかを判断する材料になります。
- 特徴: 最も高度な分析が可能で、プロトレーダーが市場のエネルギーを測るのに使います。
cTraderで板情報を見るには?
2. MT5(MetaTrader 5)
MT5は、MT4の弱点であった板情報機能を標準で搭載しています。 これはMT5の大きな進化点の一つです。
板情報の見方
- 気配値表示ウィンドウで通貨ペアを右クリックします。
- メニューから**「板情報(Depth of Market)」**を選択します。
- ショートカットキーは Alt + B です。
- 新しいウィンドウが開き、板情報が表示されます。
MT5の板情報の特徴
- 取引機能との連携: cTraderと同様に、表示されている価格をクリックすることで、即座に売買注文や指値注文を出すことができます。
- 出来高(ティックボリューム)の表示: 各価格レベルでどれくらいのティック(価格の更新回数)があったかを示すヒストグラムが表示され、価格の活発さを視覚的に把握できます。
- ブローカーによる違い: 表示される情報の「深さ(Depth)」や質は、利用しているブローカーがECN方式か、OTC方式(DD/NDD)かによって異なります。ECNブローカーの方が、より市場の実態に近い板情報を提供します。
3. MT4(MetaTrader 4)
MT4には、標準機能として板情報を表示する機能はありません。 これがMT4の最大の弱点の一つです。
しかし、完全に諦める必要はありません。いくつかの代替手段が存在します。
代替手段
- OANDAのオーダーブック・インジケーターを利用する(最もおすすめ)
- 内容: OANDA Japanに口座を開設すると、MT4用の特別なインジケーターを無料で利用できます。これは、OANDAの顧客全体の「未約定の指値注文」と「約定済みのポジション」をチャート上に表示するものです。
- 特徴: 市場全体の板情報ではありませんが、世界中に多くの利用者がいるOANDAのデータは市場の縮図として非常に参考になります。どの価格帯に買い/売りの指値が集中しているか、どの価格帯で多くのトレーダーが含み損を抱えているかなどがわかり、市場心理を読む上で絶大な効果を発揮します。
- これが事実上、MT4で使える最も優れた「板情報のようなもの」です。
- サードパーティ製の有料/無料インジケーターを利用する
- 一部の開発者が、ブローカーのデータフィードを基に板情報「もどき」を表示するインジケーターを作成・販売しています。
- 注意点: これらはあくまで限定的な情報であり、精度や信頼性は玉石混交です。導入する際は、そのインジケーターがどのようなロジックで情報を表示しているのかをよく理解する必要があります。
まとめ
プラットフォーム | 板情報の対応 | 特徴と確認方法 | おすすめな人 |
cTrader | ◎ 標準機能 | 3種類のDoMを搭載。 板取引を前提とした設計で、スキャルピングに最適。AXIORYなどで利用可能。 | 板読みを本格的に行いたいスキャルパーやデイトレーダー。 |
MT5 | ○ 標準機能 | 気配値から「板情報」を選択。取引機能と連携しており便利。ブローカーにより情報の質が変わる。 | MT4からステップアップし、より詳細な情報で取引したい人。 |
MT4 | × 標準機能なし | OANDAのオーダーブックインジケーターが最強の代替手段。市場心理の分析に非常に役立つ。 | 既存のMT4環境を変えずに、市場心理を分析に取り入れたい人。 |
結論として、
- 本格的な板取引をしたいなら → cTrader
- MT系プラットフォームで板情報を見たいなら → MT5
- どうしてもMT4を使い続けたいなら → OANDAのオーダーブック
という選択になります。ご自身のトレードスタイルや利用したいブローカーに合わせて、最適なプラットフォームを選んでみてください。